ATARIとSears

アタリショックを海外の文献とは別の視点で調べてみた。原因は粗製濫造とされているのだが、当時のゲームソフトを全てチェックすると別の要因も判明した。

まずサードパーティーとしてActivisionが1980年に参入するまでの1977〜1979年ゲームの種類は35タイトル程度。すべてAtari純正ということになる。

1980年はActivisionが6タイトル、Atariが5タイトル、Searsが1タイトルを発売。このSearsは純粋なパブリッシャーで、内容はAtariが開発したゲームだった。

独自の流通網を持っているSearsはAtariにとって良いパートナーであったが、このパートナーシップには大きなミスがあった。

Atariが自社のゲーム開発と販売を続ける中、Searsは並行して同じタイトルを自分の流通網で販売していたのだ。

ただ売るだけであれば問題は起きなかったのだろう。しかし、Searsのゲームはすべてパッケージデザインを変えていて、ゲームタイトルまで違うものが存在したのだ(中のプログラムは同じ)。

さらに紛らわしいことにSearsのパッケージにはイラストだけでゲーム画面が載っていなかった。

Atariの発売したソフトのほとんどをSearsは別のパッケージで販売していたため、買ってきたソフトが、見た目は違うのに遊んでみると同じ物だったという悲劇が起きてしまっていたのだろう。

完全に無駄な出費なため、これはクソゲーを買った時よりダメージが大きい。

そのSearsの販売はアタリショックの1982年の年末商戦まで続くのだが、1983年以降は全く発売していない。ある意味正しいパブリッシャーのあり方なのだろう。

時間を少し戻して1980年、AtariからSpace Invaders(TAITOの正式ライセンス品)が発売される。これがヒットし、翌1981年と1982年はハードの販売台数が飛躍的に伸びる。

1981年Atari(12)、サードパーティーが増加。前年のActivision(6)に続いてApollo(7)、CommaVid(1)、Konami(1)が参入。1982年には18社が追加となる。(カッコ内の数字は1981年の発売タイトル数)

1982年の発売タイトル数は137。そのうちAtariは16本であった。

この1982年にはとても有名なタイトルが発売されている。ひとつはアタリショックと一緒に語られることの多いE.T.というゲーム。もうひとつは名作Pitfall!である。

テレビコマーシャルまでして大々的に宣伝したE.T.というゲームソフトはなんとも理不尽な内容のゲームで、海外ではワーストゲーム(いわゆるクソゲー)として取り上げられることが多い。

約350万本を出荷して、宣伝のおかげで150万本ほどは売れたものの、残りは当然不良在庫となったのだ。こんなゲームをサードパーティーではなくAtari自らが出してしまうあたり(←シャレじゃないよ)アタリショックは起きて当然だったのではないだろうか。

そしてもうひとつのゲーム、Pitfall!はSpace Invaders以来の空前の大ヒットとなったが、皮肉なことにサードパーティーActivisionから出たソフトであった。
同年に、River Raidというこれまた名作もActivisionから発売されている。

リアルタイムでやっていたゲーマーじゃないんで真偽の程は不明なんですが、こう言った側面もあったんじゃないかなーと、Sears流通というものをピックアップしてみました。

Searsの詳細ですが、Atariの59タイトルを別パッケージにて販売。そのうち25タイトルがゲームタイトルも変更されての販売。例をあげるとAtari「Breakout」→Sears「Breakaway IV」 Atari「Combat」→Sears「Tank Plus」

初めて見るパッケージでも、中のゲームが持っている物と同じかもしれないと思ったら、怖くて買えないよね!